久しぶりの記事になってしまった。
最近はTwitterを頑張っていた(?)ので、そろそろこちらでも何か記事を書こうと思い、どうせなら第1話も放送されたということで、ぼくがずっと楽しみにしていた麻枝准が原作・脚本を手掛ける新作アニメ『神様になった日』(以下、『神様』)の話でもしようかなと。
『神様』が始まる前から個人的に気になっていたのは、美術監督が東地和生から鈴木くるみに変わったことだ。
『Angel Beats!』(以下、『AB!』)や『Charlotte』の背景美術が非常に美しく印象的だったので、そこがどうしても残念というか気がかりで、どうして東地和生ではないのだろうかと疑問に思っていた。
が、1話をみて、なんとなく理由がわかったような気がしたのでそれについて述べていく。
とりあえず、1話を見ての率直な感想はTwitterで一言だけ書いたがこんな感じ。
出会いは真琴、野球は智代、告白は大山君など至るところに過去作の残り香を感じられたし、ひなの色々な表情が見れてそれが本当に可愛かったのがよかった
— エンモラ (@enmora_key) October 11, 2020
別に過去作っぽさがあったから良いとか悪いとかではないのだけど、過去作との類似性が保持されつつも新しさを感じ、あやねるがニュータイプ2020年10月号のインタビューで言っていた“「間」の作品”の意味について1話の時点ですっと理解できたのがよかった。
その新しさは、特にプレスコによる会話のテンポ感によく表れていたのだけど、絵によるところも大きかった。
これまではNa-Gaのキャラ原案をできるかぎりそのままアニメに落とし込むという方針だったが、今回は原案を元にいかに可愛らしくアニメに落とし込むかという方針に変わっている。
キービジュアルやPVが公開されて、その変化は明確だったのだが、正直言うと最初ぼくにはイマイチその可愛らしさがわからなくてピンとこなかった。
だが、1話をみるとそこには色々な表情をするひながいて、彼女の可愛らしさが前面に出ており、そこでようやくなるほどと思えた。
Na-Gaは(良い意味で)硬めでシャープなイラストを描く人だと思っていて、『AB!』も『Charlotte』も硬い印象があったのだけど、今回の『神様』は方針の違いのせいか柔らかく丸みを帯びたデザインになっている。
ということで、今回、美術監督が変わった理由は言ってしまえばキャラ原案へのアプローチを変えているからだと思う。
東地和生は空や海など青が印象的で、そこに物語性を感じさせる雲や建物などを緻密に描いて表現する指折りの名美術監督である。
どちらかというと硬くて冷たい背景を描く人で、特に『AB!』は「死後の世界」という舞台設定もあって、冷たくて硬質感のある背景がNa-Gaの硬めでシャープなタッチのデザインに馴染んでいた。
しかし、『神様』ではこれまでと違い柔らかいタッチになっているので、同じようなタッチの背景を求めた結果、鈴木くるみになったのかなと。
東地和生の美術は綺麗なのだけど、あまりにも綺麗すぎて意識がそっちに持っていかれるみたいなところがある。
プレスコにするくらい会話を重視しているから、そこに集中してもらうために「主張しすぎない背景」を求めたのだと思った。
※主人公が告白するシーンの背景だけは東地和生の美術に近づけていたように思う。あそこはあえて背景を主張させることであの場所、或いは告白するという行為を印象付ける狙いがあったのではないかと推察される。あの背景はPVでも印象的だったし、今後の展開に期待。
本当はスケジュールが合わなかったなどの何かしらの大人の事情があったのかもしれないしそれはわかりようがないけど、あえて変えたのであればこういう理由だったんじゃないかなと。
これもぼくの個人的な妄想にすぎないのだが、どちらかというと硬めのイラストを描くのがNa-Gaで、どちらかというと柔らかめのイラストを描くのが樋上いたるという印象を持っている。
だから『神様』における“Na-Gaの原案を元にいかに可愛らしくアニメに落とし込むかという作業”は、ある意味では“Na-Ga絵をいたる絵に寄せる作業”だったのかもしれない。
原点回帰というキーワードが生み出した柔らかい背景とキャラクターたち。
ぼくはそこに樋上いたるの面影を見た。
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